日々の雑学 ●●●
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「福島原発の真実」佐藤栄佐久 著
2011年07月23日(土) 23:22

福島原発の真実 (平凡社新書)福島原発の真実 (平凡社新書)
(2011/06/23)
佐藤栄佐久

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節電9連休の初日であるが、久々の読書日記である。

佐藤栄佐久・前福島県知事が書いた「知事抹殺」は政治ゲームそのものにはあまり興味をそそられない私は未読である。

「福島原発の真実」佐藤栄佐久 著
原発問題について考えるときに、この著作は議論の出発点としての知識を得る上で、非常に重要だと思われる。

この本はもちろん3.11震災を受けて、執筆依頼があって書かれたものであるから、プロローグとあとがきだけは、3.11当日、及びその後の福島原発に触れられているけれど、最初に断っておくが、この著作は3.11以後の福島原発の問題について書かれた著書ではない

福島の原発の「問題」は1988年に佐藤栄佐久氏が福島県知事に就任したときから感じ始め、彼が辞めさせられるまで、ずっと起こり続けていた「問題」であり、そのことを扱っている。

フルネームで書かないと、現職の福島県知事も佐藤知事なので、わかりにくいのだが、佐藤栄佐久氏は、特別「反原発」を旗印に知事選を戦って県知事になった人ではない。

ごく普通の自民党の参議議員としての態度で、原発の問題は捉えていて、県知事には、自民、民主、公明その他、共産党以外の政党のオール与党推薦候補として、知事になった人である。

福島県知事になって、原発を巡る問題に直面するまで、特段原発に強い関心や問題意識があったわけではないことは、この著書にも自身の言葉で書かれている。

まず驚くのは、佐藤栄佐久氏の文章の上手さだ。
ノンフィクションライターとしてよほどの修練を積んでいるのか、よほどの読書家であるか、よほど地頭が良い人なのか。

原発問題に真面目に対峙してしまったために、捏造冤罪としか言いようがない理不尽な訴追を受け、国家権力からパージされたこの人物は、福島県知事としても、個人としても、途方もなく無体な扱いを受けるわけだが、筆致は激情を帯びることは決してなく、淡々と事実を語っていく。

次の章への橋渡しの最後のワンフレーズとか、プロでもなかなかこういう上手い引っ張り方はなかなか出来ないというくらい上手く書けている。

しかし、この著書の真骨頂は、佐藤栄佐久氏の文章の上手さではなく、そこに書かれている事実にある。

内閣府・原子力委員会=経済産業省・資源エネルギー庁=電力会社、という原子力推進の「鉄のトライアングル」(と佐藤栄佐久氏は表現しているが)と、県知事佐藤栄佐久、福島県庁職員、との戦いの日々の記録である。

3.11以後、今起きている問題は、きっかけこそ天災だけれども、起きるべくして起きていることがよくわかる。

原子力発電というものがどういうものなのか、私自身もこの著書を読んで初めてわかった部分がある。
科学的にどういうものか、ではなく、政治的にどういうものか、をである。

帯の「すべての議論はここから始まる」は決して誇張でも宣伝文句でもなく、まさにそうなのだ。
原子力発電の問題について、推進反対に関わらず、何か意見を述べたい人は、まずこの著書は出発点として、必読書と言えるだろう。

繰り返しになるが佐藤栄佐久氏は、「反原発知事」たろうという志があった人ではない。
県知事になってみて、福島の原発を巡る諸問題に向き合ったときに「違和感を覚えた」、と言っている。
そこから全てが始まっている。

普通の感覚の普通の人間が「何かおかしい」と感じる「仕組み」がそこにはあった、ということなのだと思う。

3.11前に、原子力発電の危険性にここまで声高に警鐘を鳴らし続けて行動していた人がいたという事実に、私も特に注意を払わなかった不明を恥じなければならないけれども、メディアも彼を変人扱いしてきたのだし、他ならぬその「メディア」そのものである「アエラ」誌によって、佐藤栄佐久氏は、放逐されるきっかけを作られるのである。

反体制派、市民派のように思われている朝日新聞社でさえも、結局のところ権力の手先にしか過ぎず、権力の邪魔者を排除する時には、喜んで先棒を担ぐのだという事実に暗然たる気持ちになる。

佐藤栄佐久氏の裁判は最高裁ではこれから争われるので、この流れから行くと、おそらく最高裁では一転無罪になるものと思われるが、現在は高裁では有罪判決になっている状態である。

原子力発電というものが、どういう構造(科学的にではなく政治的に)を持っているものなのか、興味のある方は是非読むべき書だ。

佐藤栄佐久氏の文章は、素人とは思えないほど上手いので、苦が無く読めると思うし(内容は苦渋に満ちているが)、わかりやすい。

我々は貴重な有意の人材を放擲するのに、危うく一枚乗せられるところだったのである。

実に恐ろしい。

本書はもちろん原発の恐ろしさも知ることができるが、官僚支配の恐ろしさや、マスコミ・メディアの身勝手さも戦慄させられる恐怖を教えてくれる。

そして私自身も含めた国民意識の身勝手さも教えてくれる。
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