日々の雑学 ●●●
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「船に乗れ!」(全三巻)読了
2011年08月31日(水) 23:37
藤谷 治 氏の「船に乗れ!Ⅰ 合奏と協奏」、「船に乗れ!Ⅱ 独奏」、「船に乗れ!Ⅲ 合奏協奏曲」を読了した。

下のリンクはローマ数字が化けているが、1、2、3巻である。


船に乗れ! ? (ポプラ文庫ピュアフル)船に乗れ! ? (ポプラ文庫ピュアフル)
(2011/03/04)
藤谷治

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帯には「青春音楽小説の大傑作」と大きな文字で書いてあり、
解説には「家族がいて、妹がいて、祖父母がいる、フルート専攻の伊藤慧という親友がいて、ヴァイオリン専攻の南枝里子という初恋の相手がいる。その音楽プラス青春のドラマを丸ごと書いていく。これはそういう音楽青春小説である。」
と書いてあるが、ボクは、これはそういう音楽青春小説だとは
全く思わない

「船に乗れ!」と言ったのは誰か?
音楽青春小説なら、金窪先生の出番は必要ない。
音楽が友人が恋が描かれているけれども、金窪先生の存在は、サトルのチェロの上達の問題や、南枝里子との恋の問題や、伊藤との友情の問題と、同等かそれ以上に重い。

主人公は高校生の津島サトルなのか?
そうではあるまい。
著者の藤谷治氏は1963年生まれだから、私の一年下だが、私と同年代の中年になった津島サトルが主人公である。
実際そういう体で語られている。

音楽やスポーツを軸に物語を汲み上げて行くことは、ある意味容易い。
練習、苦難、精進によって「上達」をし、「演奏会」や「試合」で成功するカタルシス、という流れに既に必然的にドラマ性があるからである。
チームでやるものであれば尚更である。

それは「巨人の星」でも「のだめカンタービレ」でも同じことだ。

この「船に乗れ!」では、確かに練習をして、出来ないことが徐々に出来るようになっていくし、オーケストラ合奏の練習、室内楽の練習、チェロのソロ曲、個人レッスン、が書かれているけれども、それらの音楽上の精進と成功を主題として書かれているわけではない。
そういう問題とは一段違うレベルの問題が、この小説では扱われている。

そして、この小説は、まさに私の年代、著者と同じ「1963年生まれと想定される津島サトルと同年代」の人間が読むべき本である。

高校生が書かれているけれども、高校生のために書かれたものではないことは自明で、30代の人間も読むには早すぎるように思う。

40代後半から50代前半の方が是非とも読むべき本だ。

音楽の経験、中でも合奏の経験がある人間の方が、面白く読めるかもしれないし、チェロのポジションや指番号もしばしば出てくるから、チェロの演奏経験のある人は、さらに面白く読めるかもしれないが、それはこの物語の大きなテーマの上では瑣末なことである。

なぜ「船に乗れ!」という題なのかを良く考えた時、この小説は単なる「音楽青春小説」などではない。
もっと深遠な主題を扱っている。

ネタバレにならない形で読書日記を書くのはいつも苦労するけれども、昨年末のiPhone購入以降、通勤電車内での読書量が激減した私が、久しぶりに中断することが出来ずに一気に三巻読み終えた本である。

面白いのか?
うーむ。
単に「面白い」とは、そう簡単に答えられないのだが、一気に読まざるを得ないのは確かだ。

繰り返しになるが、人生の折り返し点を迎えた40代後半から50代前半の方が是非とも読むべき小説だと思う。
なかんずく楽器演奏の経験のある人は。

2009年の本屋大賞に入った同書で、話題になったのは単行本刊行時だが、文庫になったのは今年3月であり、私は文庫にならなければ絶対読まないから、ちょっと話題に遅れて読んだような気がしたが、文庫化からは数ヶ月しか経っておらず、それほど遅れてはいなかったと思う。

書けば非常に大きなドラマ性を持つことがわかっていながら、著者がなかなか書く気になれなかった自伝的小説であり、渾身の作品であるのと同時に、今後これ以上の作品が送り出せるかが問われる作品だとも思う。

怒涛の第二巻はまさに「怒涛」だ
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この記事へのコメント
読了おめでとうございます。そこまで到達したなら同著者の
「船上でチェロを弾く」(マガジンハウス)もぜひどうぞ。
いわゆるひとつのスピンオフエッセイです。現在まだ
ハードカバーですがヨノナカには図書館というたいそう
便利なものもありますよんv-290
2011年09月01日(木) 08:12 | URL | 某ひろこ #bHwfVFXo[ 内容変更]

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