日々の雑学 ●●●
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藤沢周平「帰省」
2012年02月09日(木) 23:24
藤沢周平が亡くなってもう15年になるのか。

新作を心待ちにしていた時期はもう遠い昔になってしまった。

亡くなった後に、いろいろ出てきたのだが、それらも出版されつくし、さすがにもう何も出ないだろうと思っていたのだが、まだ結構あったようだ。

未収録エッセイ集である。


帰省 (文春文庫)帰省 (文春文庫)
(2011/03/10)
藤沢 周平

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あとがきで、文芸春秋が詫び文を書いているのだが、「藤沢周平全集」には、エッセイも含め全て収録したつもりであったが、未収録のものがこれだけ出て来たという。
「全集」をお買い求めになられた方には申し訳ないと言っている。

しかし、他の作家の著作の解説あとがきとか、何かの記念誌の寄せた文章とか、知人の追悼文とか、あるいは生前に編んだエッセイ集にあえて著者が未収録として没とした文章などもあり、こういうものは、他の作家でも、乾いた雑巾をギリギリ絞れば何かしら出てくるのではないか、という気もした。

藤沢周平の本は売れるので、そういう乾いた雑巾をギリギリ絞る作業をする甲斐が、マーケティング上あった、ということに過ぎず、エッセイ、寄稿、雑文の類は、漏れている文章というのは、どんな作家でもあるのではないか、という気もしながら読んだ。

生前、エッセイ集から藤沢周平が敢えて除いた文章というのは、特定の個人、団体のことに直接触れすぎているので、控えたというような性質のもので、これだけ年月が経つと、もう良いだろうという、文芸春秋の判断で収録したものもあるように思う。

それでも、読み尽くしたという寂しさの中で出会った、藤沢周平の新しい文章は、非常に懐かしく、文章の確かさも相変わらずの藤沢周平クオリティで、一気に読んでしまった。

過去のエッセイ集も三読、四読しているけれども、この本も今後も繰り返し読むことになるだろう。

中には、他のエッセイ集で取り上げたのと、同一のテーマが、別の文章になっているものもあり、「このエピソード自体は知っている」というものもあるわけだが、また、違った表現で書かれていると、違った感興を催す。

ラフな言い方だということを承知の上であえて言うと、純文学であれ大衆文学であれ、小説はとりあえず、読んで面白くなければいけないものだろうという気がします。

というあたりにも、藤沢周平の真髄が直裁に出ている気がするし、古田織部正重然について書いた「破調の織部 - 古田織部の生涯」や、清河八郎のこと、「梶川与惣兵衛の毀誉褒貶」など、非常に興味深く読んだ。

梶川与惣兵衛とは、浅野内匠頭長矩が、吉良上野介義央に刃傷に及んだ際に、たまたま現場に居合わせて、浅野内匠頭を後ろから羽交い絞めにした人物である。

梶川与惣兵衛頼照と初めて出会ったのは、三十ワットか四十ワットの赤茶けた裸電球の光りの下でだった。

と、小学生時代の話を始めるわけだが、私はこの文章を読むまで、梶川与惣兵衛の諱名が「頼照」であることなど、まったく知らなかった。

藤沢周平は武士の名前については、小説中でもよくこの手を使うのだが・・・。
諱名を取り立てて強調することもないし、通称を強調することもないのだが、初めて出てきたときに、平然とさらっと「フルネーム」を書いて、その後は馴染みの深い方の名だけで通して、敢えて触れない。
「梶川頼照」と言われたら、誰のことだかわからないけれども、「頼照」であるということに触れることで、その人物が非常に生き生きと動き始めるのである。

藤沢周平の文章の選び方、磨き方というのは、簡にして潔なのだが、痒いところには絶対手が届いている、という格好なのだ。

藤沢作品の映画化の嵐のような騒ぎも一段落し、しばらく読み返すことをしていなかったのだが、藤沢周平の文章、しかも肉声により近いエッセイに触れて、また「藤沢文章」の世界に遊んでみたい欲求が頭をもたげてきた。

多くの作品は五読目か、六読目かということになろうかと思うが。
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