日々の雑学 ●●●
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宮本常一 著「山に生きる人びと」
2012年06月12日(火) 22:51

山に生きる人びと (河出文庫)山に生きる人びと (河出文庫)
(2011/11/05)
宮本 常一

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私の興味対象から言えば、「宮本常一」に出会うのは、もっと早い時期であっても良かったと思っているのだが、柳田國男や南方熊楠など、学生時代から著作に親しんでいた偉人たちと比べると、宮本常一の存在を知ったのは結構最近のことである。

再評価が進んで露出自体がが増えたこともあると思うが、佐野眞一氏の「旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三」がきっかけのように思う。

旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三 (文春文庫)
(2009/04/10)
佐野 眞一

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渋沢敬三の事跡を追っていたのは、渋沢栄一の事跡に興味があったからで、この佐野氏の著書、「旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三」の中での、渋沢敬三と宮本常一の関係に興趣をそそられた。

そして、宮本常一自身の著書もこれをきっかけに代表作をだいぶ読んだように思う。

河出文庫から出ていた「山に生きる人びと」を見つけたのは、珍しく最近、リアル書店の店頭であった。

宮本は瀬戸内・周防大島に生まれたこともあって、主たる考察のフィールドはむしろ、海がメインだったかもしれない。

米作をしない人びとというのは、江戸期を通じても年貢の徴収の域外にあったりして記録が少なく、その意味でも興味深い。

これぞ、宮本常一ならではの視点という感じで、あえて米作が不可能な山に生きる人びとを考察していく。
柳田國男の「山の人生」を意識して書かれたものかもしれない、と解説者は指摘。

しかし宮本は、実際に山に分け入り、そこで生活している人びとや、その生活痕跡を自ら渉猟しながら考察していく。

1.塩の道
 山中で自給自足をするといっても、塩だけは外部から入手しなればならない。

2.山民往来の道
 このあたりにも、ちょっとファンタジーの色彩も帯びるのだが、平地に出ることなく、山の民が山間だけを使って往来できる道があったのではないか、という説である。

3.狩人

4.山の信仰

5.サンカの終焉
 サンカについては、まあ色々な議論があると思うけれども、マジメな研究の対象ではないと切り捨ててしまうのはどうかと思うのである。

6.杣(そま)から大工へ

7.木地屋の発生
 木地屋が近江を根拠地とした全国組織として展開していた、というのは非常に興味深い説である

8.木地屋の生活

9.杓子・鍬柄

10.九州山中の落人村

11.天竜山中の落人村

12.中国山中の鉄山労働者

13・鉄山師

14.炭焼き

15.杣と木挽

16.山地交通の担い手

17.山から里へ

18.民衆仏教と山間文化

米作農民とは極めて没交渉に生き、為政者の支配・管理の域外で生きようとする人びと。
平地農民、支配官僚の視点からは、未知なる人びと、文化を異にする人びと、時としては士農工商の埒外として、差別の対象にもなり、特殊能力の保持者として、畏怖されながらも疎んぜられてきた人びと。

宮本の筆致は、縄文から弥生文化への移行で、日本は狩猟採集から、稲作農耕民になったという画一的な史観に、疑義を呈している。

山間に生きる糧を求めた人は、平地農村で食いはぐれた窮乏民が山間に入ったものとばかりは限らず、そもそも稲作を拠り所とせず、狩猟・採集、焼畑と焼畑に準じた簡単な定畑、穀類もアワ・ヒエを中心に暮らしていた人びとが、稲作文化とは別の流れで連綿と存在したのではないか、と問いを投じている。

山に生きる人びと、例えば、山伏や、木地屋などが、個々に孤立していたわけではなく、全国チェーンの交流を持った社会であることなどを上げている。

太閤検地、江戸期の米作を基準とした管理、それらの中では捉え切れなかった人々は、昭和30年代のエネルギー革命が起きる前の、宮本が山間を渉猟した時期には確かな痕跡が残っているのである。

平地・谷筋の農民とは、没交渉に道も通わぬ(と平地民が思っている)山間に、彼らだけの村があり、思わぬ多く人びとが生活している(いた)ことは、為政者の残した記録にも登場せず、彼ら自身も文字を残さなかったことも多く、ひっそりと受け継がれて来ているものがあるのかもしれない。

ホントかいな?という部分も錯雑しているのだが、その浪漫・ファンタジーの余地が残るところに、却って魅力があるように思うのである。
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