日々の雑学 ●●●
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吉村昭 著「生麦事件」(上)(下)
2013年03月06日(水) 23:36
吉村昭が幕末を中心として歴史小説の分野に執筆の分野を移して来たのは、第二次大戦の戦史ものの証言者の生存率が圧倒的に低下したことによるというのは、自身のエッセイで度々言及されているところである。

直接の証言者が不在の歴史小説でも、第二次大戦時を素材とした小説で証言を元に書いていたのと同様、信頼に足る史料、主人公やそれに相当する人の日記などが残っている場合にのにみ、執筆の意欲が沸く、ということも言っている。
できれば、事件が起きた日の天気も知ろうとしている。

資料集めの途中で断念した題材も多く、ストイック過ぎるのではないか、とさえ思えるアプローチをしている。

井上靖が書いた「おろしや国酔夢譚」が存在するにも関わらず、あえて「大黒屋光太夫」の執筆をする気になったのも、光太夫と一緒に帰国したもう一人の生き残り、久蔵の帰国後の聞き書きが存在していることに触発されてのことである。

「生麦事件」は「尊王攘夷論」がどのように「倒幕運動」にすり替わっていくか、その契機となる、長州の赤間関での4カ国艦隊との戦争、生麦事件を契機とする「薩英戦争」の顛末を描くことで、この数年間の維新の動きの本質を描けると考えてのことだった。

この「生麦事件」も3読目だと思われるが、「八重の桜」の進行とダブる部分もあって、その時々で読む味わいが違う。

一般に坂本竜馬の役割が過大評価され過ぎているのではないか、という論が最近話題になっているのだが、そういう視点で読むとこの「生麦事件」における薩長同盟成立への竜馬の関わり方も非常に限定的な書き方をしている。


生麦事件〈上〉 (新潮文庫)生麦事件〈上〉 (新潮文庫)
(2002/05)
吉村 昭

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生麦事件〈下〉 (新潮文庫)生麦事件〈下〉 (新潮文庫)
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吉村昭は、幕末史に関しては「桜田門外の変」や「天狗騒乱」、「彰義隊」など時代の重なるものも多く書いているのだが、それぞれに光を当てる角度が違うので、例えば将軍継嗣の家茂派と慶喜派の対立という事象をとっても、複数の小説出てきても、その描き方はそれぞれに踏み込み方も角度も違ってくる。

幕末史は、ドラマや教科書で知るよりも、思った以上に複雑な思惑が絡み合った偶然の上に成り立っていて、違う角度から光を当てなおしてみることは、そのたびごとに面白いのである。
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