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飯田哲也 著「北欧のエネルギーデモクラシー」を読む
2006年08月17日(木) 14:47
自然エネルギー、再生可能エネルギーの問題に興味を持って眺めてみると、飯田哲也氏の著述は、もはや古典と言ってもよいかもしれない。

この「北欧のエネルギーデモクラシー」も、2000年発刊のものなので、いささか古いわけだが、事態の方向性や、現状の問題点は現在も変わっていないと言って良いだろう。

この著書では、スウェーデンのエネルギー政策と、デンマークのエネルギー政策が取り上げられている。
環境先進国というと、北欧は一まとめに「何となく進んでるらしい」というイメージで捉えてしまうが、実際には、それぞれの国によって事情は違う、ということを改めて認識させられる。

「なんとなく環境問題先進国・北欧」という茫漠としたイメージを持っていて、だけど、実際の中身はよく知らない、という方にはお薦めの本であると思う。

欧州でもとりわけ環境負荷に敏感で、自然エネルギーへの依存度を高めようとしている国々は、欧州の中でも、オーストリア、デンマーク、ドイツ、フィンランド、オランダ、スウェーデンの6カ国が、「環境ブロック」などと呼ばれたりしている。

その中でも、まず、スウェーデン、デンマークなど北欧諸国が、大胆で先進的な政策を一歩先んじて導入する。
それを突破口として、経済的にも政治的にも影響力の大きなドイツが動き、欧州全体への流れを作る、という流れがある。
環境税などの税制の問題もそうだった。

この著書では大きく分けて、3つの部分からなると考えてよいと思う。
第一がスウェーデンのエネルギー政策と合意形成の過程。
第二がデンマークのエネルギー政策と合意形成の過程。
そして、最後に短いながら非常に興味深く示唆に富む事例として、「エネルギー100%自給を目指す島々」が取り上げられている。

スウェーデンのエネルギー政策とデンマークのエネルギー政策は、似ているようで成り立ちは大きく違う。

国土の違いとしてまず、水力発電が一貫して過去から現在まである程度の割合を占めているスウェーデンに対し、山が無く、水力発電はまったくないに等しいデンマーク。

また、先の大戦時にドイツの占領を受けたデンマークと、受けなかったスウェーデン、この違いもエネルギー政策だけでなく、あらゆる国策の決定の課程で拠って立つところが違う、ということに気付かされる。

また、原子力発電に対しても、一時期、推進に大きく傾き、現在も稼動中の原子力発電所を持つスウェーデンと、一貫して原子力を拒絶したデンマーク。

また、大戦の前と後とを問わず中立政策を堅持してきたスウェーデンに対して、戦後、NATOや、EUの前前身たるOEECに加盟し、西欧への同盟関係を深めたデンマーク。

などなど、違いは多いのである。

風力発電で一歩先を行き、もはや陸上の風力発電適地は設置し尽くした、とも言われるデンマークは、ドイツ占領時代に、エネルギー枯渇の自衛策として、小規模な風力発電が行われたことがある経験があった。日本の木炭バスのような緊急避難的エネルギーだったわけだが、それでも実績があった。

一方スウェーデンではエネルギー政策の議論の中心は、原子力発電の推進か廃止か、という論点を機軸に、エネルギー論争が続いた。

結論としては、原発全廃の時期は明確に示していないものの、新規の建設は凍結。
耐用年数を経過した原子炉は順次運転停止、というコンセンサスは出来ているように思う。

この著書で、スウェーデンの環境税に関しても、実際の税制のあり方、何に何パーセントなのか、というような部分も、具体的に知ることができる。

両国を通じて言えることは、環境先進国ともてはやされ、日本などとは、政治家の考えも、産業界の考えも、市民の意識も、産業規模も違う、別世界のお話し、というふうに捉えてしまいがちだが、実際にはスウェーデンでも、デンマークでも、産業界とそれを背景にする政党は、「国際競争力」の名のもとに、効率の良い化石エネルギーから、乳離れをすることには大きな抵抗があったことがわかる。

しかし、それを地域のコンセンサス、市民のコンセンサスという積み重ねを経て、国政への反映、というステップを着実に踏んできたのである。

デンマークでもオイルショックが襲う直前の1970年には全エネルギー供給量の88%を輸入石油に頼っていた。
そこからの政策転換だったのである。

高度経済成長も、そろそろもう良い湯加減になってきた、と先進各国が思っていたであろう、1970年代以降の政策の舵取りの問題で、それほど昔の話ではない。

石油依存は避けなければならない、という旗印は同じなのだが、原子力に軸足を置いたか、そうでないか、という違いで彼我の差が出来たのである。

いったん「原子力だ」と舵を切ったスウェーデンも、左派・右派・中道様々な連立政権が政権を担う課程で、国策としての原子力に対するスタンスは揺れた。

スウェーデン、デンマーク両国のエネルギー将来像の特長としてわが国も見習わなくてはいけない点は、エネルギーを何で得るか、という比率論議の大前提として、そもそもエネルギー消費量の総量を上げないで(むしろ下げて)しかも経済の持続的発展ができるシナリオを書く、という点だろう。

風力が良い、太陽熱だ、バイオマスだ、という前に、経済が継続的に発展する以上、エネルギー消費は右肩上がりなのは仕方がない、というステージを卒業しているのである。

実際、エネルギー効率を上げる、つまり、より効率の良い社会システムに変えて行くことで、総消費エネルギー絶対量を下げながら、経済活動は発展もしくは維持、していく、という考えである。

簡単な例でいえば、日本でも冷蔵庫、クーラーなどの家電製品は「消費電力は10年前の10分の1です(当社比)」という類のコピーで売られている製品がたくさんあるが、その種のエネルギー効率の改善というのは、まだまだ手付かずで放置されている部分が多いのである。

この問題はこれから、エネルギー消費の成長を迎えようとしている中国、インドなどのエネルギー政策を見ていく上でも重要な視点だ。

特に、電気で熱を得ることは、改めて指摘するまでもなく、非常にエネルギーのロスが大きい。
暖房用途、調理用途での電気の使用はなるべく控えていかなければならない。

マンション暮らしだと、例えば私のマンションなどの高層になると、ガスもキッチンのコンロ以外には引いて来ることが許されていない。
辛うじてリビングの床暖房がガスなので、その点は救われているが。
ガスストーブにしたかったのだが、できない。
エアコンは取り付けたものの、機密性と、西陽が差し込む部屋の構造上、夕方~夜が暖かくなるので、暖房用途には、エアコンは、まず使ったことがない。

また、建物の断熱性や、冷房の効率を高めるビルの構造の研究など、何でエネルギーを得るか、と、同じ問題の両面として、如何にサービス・快適性を落とさず、エネルギー総消費を落として行くか、という問題も真剣に取り組まなければならないのである。

また、ビルや電車などの閉鎖空間も、365日間窓は締切で、春秋の季節の良いときでも、冷房か暖房かどちらかが常に稼動している、という状態も「異常なこと」だと気付かねばならない。
日本には、春、秋には、冷房も暖房も必要としない日(あるいは時間帯)が結構あるはずなのだが、それらを効率よく使うような考え方が、モノの作り方の根本のところで欠落している。

スウェーデンで進められてきたエネルギー政策も、単に電力を得る手段をどうするか、という問題だけに留まらず、主として暖房用途の地域熱供給の推進など、電力の消費総量を抑えていく様々な施策が、エネルギー源の代替と並行する形で進められている。

最後に、非常に示唆に富む事例として「アイルネット」、「自然エネルギーアイランド」の取り組みが紹介されている。

デンマークのサムソ島と、スウェーデンのゴットランド島の事例である。

離島というのは、多くの場合「本土」から遠隔地にあって、エネルギー、水道、食料といったいわゆるライフラインの供給上の制約がある。
そこで、自分たちの島の消費エネルギーを完全に自給できないか、という試みにトライしている島々がある。
サムソ島は同じデンマークのエーロ島とともに、10年間で、自然エネルギーによる100%エネルギー自給を目指す島として、デンマーク政府に指名されている。

この問題は、単に北欧の島々に限った問題ではなく、日本でも中山間地などへのエネルギー供給のあり方や、先日起きた「東京大停電」の問題を見ても、エネルギーの分散、という問題は非常に重要であり、これらの北欧の島々の取り組みにと成果に注意を払って見て行きたいと思うのである。
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